『Androidアプリで本当に儲かるのか?』セミナーレポート

『Androidアプリで本当に儲かるのか?』セミナーレポート

Clock Icon2011.09.09

この記事は公開されてから1年以上経過しています。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

こんにちは!おおはしりきたけです!

9月8日(木)に行われた『Androidアプリで本当に儲かるのか?株式会社コンテンツワン主催Androidセミナー~Androidのマネタイズノウハウ最前線』に参加してきました。

イベントURL:http://atnd.org/events/19272

イベントの概要は以下です。

AndroidOS搭載の携帯端末の発売ラッシュが続き、保有者数も当初予測を超える勢いで伸び続けています。しかし、未だにはっきりと見てこないのがAndroidのマネタイズパターンです。Androidで儲かっている会社はほとんどないのではないか?と言われる中、実はすでに収益を上げている企業や収益化への道が見えつつある企業もあります。今回はそんなAndroidでの先進モデルをお持ちの企業の経営陣にAndroidでのマネタイズノウハウについてじっくり語っていただきます。Androidの企画や開発そしてマーケティングに関わるすべての方にとって必見のコンテンツです。

 Androidアプリのリリースラッシュは続いていますが、「果たして儲かるのか?」私は、その疑問を自分に問いかけながら今回のセミナーに参加しました。

<タイムテーブル>

  • 19:30 第1部 Android事業の収益性や可能性について(株式会社テレマークス 代表取締役 田中健二氏)
  • 20:00 第2部 法人向けAndroidビジネス、そのポイントとは?(株式会社ジェナ 代表取締役社長 手塚康夫氏)
  • 20:30 第3部 Androidにおけるフリーミアムモデルの展開(株式会社アドウェイズ 執行役員 野田順義氏)
  • 21:10 第4部 懇親会 ビールとピザなどの軽食をお楽しみください

■第1部 Android事業の収益性や可能性について

Androidアプリはどうなるか?

  • Androidアプリは儲かるか?儲からないか?儲かりそうだけど。。。
  • 勝者は数%この1年で勝負をかける(テレマークスさん)
  • 個人ならサラリーマンの給与は楽に稼げる

株式会社テレマークス紹介

  • 2009年4月設立
  • Android開発事業のみを行っている
  • ツール系に絞って提供している(ゲームは本業の方に入られると太刀打ちできない)

法人向けの市場を目標にして会社を立ち上げ、主な事業は以下

  • 受託開発
  • アプリ販売・広告収入
  • コンサルティング

半分以上は受託開発。去年の今頃は受託開発しかなかった。アプリの販売は1年位前から行っており、広告は今年の頭くらいから導入している。受託開発で依頼が来て、コンサルティング契約を行うこともある。アプリのリリースは、全部で10本で、アクティブは8本(2本有料)

  • 有料アプリ:「CallFilter Pro」、「プライバシーガード プロ」
  • 広告は4本のアプリに入れている。
  • 当初はAndroidマーケットでの収益化は考えていなかった。
  • 広告費は0円

Androidアプリのダウンロード数の伸びが減少してきている。考えられる原因は以下

  • アプリがリリースされていない、更新してない
  • マーケットが飽和状態
  • 1ユーザーあたりのインストール数が減少している(バッテリーの減りの問題と使わなくなくなったアプリは消しているから)

株式会社テレマークスのAndroidアプリ

  • DL数:270万
  • ユーザー平均評価:4.3
  • Activeインストール率:45%

ツールアプリの特徴

  • 長寿命
  • ロングテール

分析

  • 評価する人は1%未満
  • 評価した人のうちコメントをつけるのは20%
  • コメントのうち星1をつける人は30%

ポイント

  • DL数要理Activeインストール率に注意する
  • 評価する人の率が高いアプリケーションは有望
  • コメントに過剰に反応しない
  • 多機能アプリほど高評価は難しい

アプリケーション販売

【メリット】

  • ダウンロード数より機能重視
  • アイテム課金は有望

【デメリット】

  • 売れない、単価が安い
  • 同機能の無料アプリがリリースされる

【最適なアプリ】

  • UIがないツール、まれに使うツール
  • 写真集、辞典などの静的コンテンツアプリ

○有料アプリ

  • 販売数は無料の1%以下
  • コスト0でコンスタントに売れる高い
  • アクティブインストール率(CallFilter Proは70%アクティブインストール率)
  • 今後アイテム課金が主流に(サーバーを持っているアプリとかは継続的に売り続けないとランニングコストがかかるので、今後はアイテム課金にしていく)

○無料アプリ

【メリット】

  • 多くのユーザーを得れば大きな収入も可能
  • リワード広告は好調

【デメリット】

  • 広告向けの企画に限定される
  • 広告単価は長期的には下落すると予想(今後は現在の半分以下になるのではないか?)

最適なアプリ

  • 日常的に頻繁に使うアプリ

無料アプリの今後

  • アクティブインストール率、インプレッション数が重要
  • 収益目安
  • インプレッションの0.5%~1%
  • 今後は低下傾向になると予想
  • 広告に拒絶反応を示すユーザー5%~7%

受託開発

【メリット】

  • 約束された収益

【デメリット】

  • 人月の見積もり。価格競争
  • OS、機種の相違・バグの調査・保障
  • 大きな仕事は稀

【コメント
採算割れ、将来性は厳しいと考えている。
 →提案書を持っていない相談が多いため、アイデアだすときはコンサル契約をしていた。

受託は将来性がないので、開発はレベニューシェアを主体にしているので、受託開発は、今季限りでやめようと思っている。
有料?無料?

  • 有料:200 * 10人/日 * 365日=712,000円
  • 無料:2000円*365 = 712,000円

エンジニアの人件費を、1プロダクトで稼ぐことはできる。

売り上げを2倍にするには?

  • ユーザー数を2倍にする
  • アプリ数を2倍にする
  • インプレッション数を2倍にする
  • 販売アイテムを2倍にする

今期は収入の7割が広告収入で行けるのではないかと思っている。
コメントが少ないアプリは、先が見えないので、早めに方向を変えたほうがよい

収益化まとめ

  • 鍵はユーザー数
  • 新しい広告や新しい販売手法(リワード広告、アイテム課金・月額課金、etc)
  • 最大の脅威は個人開発者(個人が入りにくい分野に攻める)

来季の事業計画

  • MDMサービスの正式リリース
  • レベニューシェア型開発
  • コンサルティング
  • アプリの広告・販売

■第2部 法人向けAndroidビジネス、そのポイントとは?

株式会社ジェナについて

  • 2006年3月設立
  • スマートフォン、タブレットの開発、および導入支援
  • アプリ開発は、国内最大規模の50社
  • 中心は受託開発(8割の収益)
  • SIもやっている
  • アプリ開発プラットフォームス
  • スマートフォン導入支援(スマートフォンの設定とか地味だけど参入が少ない)

ビジネスの世界だと95%がiOS、Androidは5%。タブレットPCはiPadが圧倒的なシェア

マーケットの現状

AppStore

  • 47万アプリ
  • 150億DL
  • 780アプリ/日

Android

  • 31万アプリ
  • 60億DL
  • 1100アプリ/日

スマートフォンデバイス開発については、主に以下がポイント
【企画

  • 複雑なアプリほど売れない
  • シンプルな機能要件
  • カンプデザインによる完成イメージの共有

設計

  • 直観的なマルチタッチのインターフェース
  • UI設計/システム設計は別々に行う

【開発・運用】

  • モックアップによる早期からの動作確認
  • OS/アプリバージョンアップを想定した運用

企業向けはどのようにバージョンアップをしていくかもしっかり考える。iOSの場合は、アップデートなどの配布設計をしっかりしておく必要がある。Android開発を行う上でテストは重要になってくる。
特に機種依存が多く、OSのバージョンが同じでも、メーカーが違うと動かないということは多々ある。また、Android向けWebサイトに関しては、動くJavaScriptが違うなど、テストフェーズが重くなる

企業におけるスマートデバイスのアプリ開発

【プロモーション型】

製品/サービス/ブランドのマーケティング活動が目的のアプリ。プロモーション投資としてマーケティング部門や営業部門が取り組むケースが多い。予算は200万~300万

【サービス型】

既存サービスの新規チャネル開拓が目的のアプリ。新規顧客獲得。収益の最大化をめざし、サービス開発投資としてサービス企画部門が取り組むケースが多い。予算は1000万程度

【エンタープライズ型】

生産性向上、業務改善が目的のアプリ。社内システムとの連携が必要なアプリなどをSier、情シスと連携して開発することが多い予算は開発費の一部となることが多い

プロモーション型はマネタイズが難しい。サービス型は、数年後にマネタイズ、エンタープライズ型は、数億という案件の世界の一部として始まってきている2013年くらいには、エンタープライズ型の案件が多くなると思われる。今後はハイブリット型HTMLベースのアプリ開発が多くなると予想している。

受託開発

  • テンプレ化、オフショアで単価が下落
  • 統合的なプラットフォームの提供(ソリューション化)
  • iOSは儲かる(技術者が少ない)
  • 需要と供給のバランスからするとAndroidのエンジニア(Javaエンジニア)は多いので、単価は下がる傾向

モバイルデバイス管理(MDM)が多くなると思う。企業は運用することも考えるので、MDMは重要

■第3部 Androidにおけるフリーミアムモデルの展開

株式会社アドウェイズについて

ソーシャルアプリ

ソーシャルゲームを提供しており、カイブツクロニクルはAppStoreで5か月連続で5位以内に入っている。

  • 累計DL数80万
  • 最高デイリーダウンロード:11万

デイリーダウンロード11万というのは、AppStoreのアプリでは相当すごい。

AppDriverリワード広告

  • CPIプロモーション
  • アクセス解析
  • リワード広告

AppDriver * Greeリワードなどもやっている。

ソーシャルゲームの市場予測としては、2012年には2200億円規模になる。現状ではiOS、今後の伸びはAndroidが多い。

Androidの市場予測

  • 課金状況はiOSとAndroidで遜色はない
  • 上位100位以内に無料アプリは14個
  • iOSと同じ状況
  • アプリ内科金が主流になる(トップ25位の68%はアプリ内課金)

課金アプリの紹介
Papaya Mobile

  • Androidに特化したソーシャルゲームプラットフォーム
  • ユーザー数は2500万人
  • ARPPUマンスリーで22$

Paradiseisland

  • リリースから3週間で100万DL
  • 5月の売り上げは64万ドルアメリカ、イギリス、カナダでトップセールス1位
  • AndroidマーケットはAppStoreの1/5

GameviewStudios(Dena)

  • 累計500万DL、MAUは200万
  • AndroidとiOSのARPUは同等、一部タイトルではAndroid

カイブツクロニクル

  • DL数:12万
  • DAU:1.5万
  • MAU:3.3万
  • 課金率3%

売り上げは8桁(1000万以上)は行っている。

カイブツクロニクルの主要KPI
「DAU・MAU」*「課金率」*「ARPU・ARPPU」
iOSと比べると課金率とARPUはほぼ同等(iOSは50万DL)

Androidの集客

  • Androidは集客が課題
  • ランキングのアルゴリズムはAppStoreと異なる
  • Androidマーケットからの流入は難しい
  • 自分のアプリをどう見つけてもらうか?
  • マーケティングが重要

カイブツクロニクルの主なプロモーション

  • PR/レビュー
  • アドネットワーク
  • リワード
  • ソーシャル

PR/レビュー:費用対効果はわからない、どのタイミングでお金をかけるかをしっかり決める必要がある。
アドネットワーク:ピンキリ、媒体との相性があると良い
リワード:コストが保障されているので、わかりやすい。1日で数千DLされることもある。

どのマーケットにアプリを展開するか?かつ、プラットフォームで埋もれないようにするには?特にAndroidに関しては集客が難しい。収益化をするには、アプリ内課金、リワード広告(課金の代替手段として全体の売り上げの底上げになる)、広告のHybridで収益化を目指すことが大切。

まとめ

「Androidアプリで本当に儲かるのか?」ということで、どのような話が聞けるのかと思ってましたが、想像以上に面白い内容が聞けました。特にテレマークスさんの発表は、自社の事例を基に参考になる数字が色々と聞けたのが非常に参考になりました。受託は、開発会社が多くなってきており、競争力を高めるために、開発会社が工夫しないと厳しい状況にはなりそうですが、市場的には、ジェネさんの発表であったエンタープライズ型の開発というのは伸びでいくのではないかと思います。Android本当に奥が深いです。

追記

アドウェイズさんの資料が公開されていました!レポートだと分かりづらいと思いますので、詳細は資料を見てください。

資料:「Androidにおけるフリーミアムモデルの展開」

Share this article

facebook logohatena logotwitter logo

© Classmethod, Inc. All rights reserved.